説明
本書の目的は、「日本人の仏教とはどのようなものか」を明らかにすることにある。仏陀に始り、インドから中国そして日本へと伝わってきた仏教の歴史を辿りながら、その全体像をまとめた仏教入門書である。さらに、現代社会における仏教の現状にも目を向け、これからの寺院や僧侶の在り方の方向性について一石を投じる。
書名:日本人の仏教 仏陀と葬送の往還
著者:貝沼正徳
サイズ:新書判・238頁
定 価:1760円(本体1600円、税160円)
<目次>
はじめに
序 章 仏教とは何か
現代に生きる宗教
宗教的伝承との融合
仏教との出会い
第一章 仏教の原点
一、仏陀の生涯
仏陀の誕生
シャカの苦悩と出家
シャカの悟り
長い伝道の旅
二、仏陀滅後の仏教
仏典と教団について
部派仏教
超人化から神格化へ
三、仏教の基本的な思想
人生は苦なり
ものの在り方 ─縁起
仏教の世界観 ─三法印
戒律について
第二章 日本仏教の源流 ─大乗仏教─
一、大乗仏教の歴史的展開
改革の運動
菩薩とは
菩薩の利他の精神
大乗経典の製作
新しい仏陀観
仏像の製作
密教の成立
曼荼羅の世界
二、大乗仏教を支える思想
空の理論化
心の探究
唯識思想
仏性思想
第三章 日本仏教への架橋 ─中国仏教─
一、中国仏教の形成
受容期の仏教
発展期の仏教
長期にわたる仏典漢訳
教相判釈による仏典解釈
二、儒教や道教との関係
儒教の成立
老荘思想と道教について
仏教と儒教の関係
対立から融合へ
三、中国仏教の特質
仏教の中国化
禅と念仏の仏教
祖先祭祀との関わり
四、大乗仏教の戒律
発心と誓願
大乗戒について
日本仏教の戒律
戒名について
第四章 仏教の日本的受容
一、日本仏教の黎明期
仏教の受け入れ
国家仏教の成立
南都六宗
民衆仏教の流れ
神と仏の関係
二、日本的仏教の基盤形成
平安四百年
最澄と空海
密教の時代
神と仏の結合
三、新たな展開の萌芽
念仏の流布
末法の危機意識
本覚思想の形成
第五章 日本的仏教の展開
一、鎌倉仏教の成立
新展開の幕開け
念仏に救いを求める流れ
禅による仏教再生の動き
現世安穏(立正安国)を求める動き
二、鎌倉仏教の広がり
社会への定着と宗派の形成
禅の興隆
民衆エネルギーの誘発
仏教と政治権力
第六章 葬式仏教の形成
一、仏教と葬送の関係
葬送について
仏教と葬送の結び付き
卒塔婆と石塔
葬儀作法の導入
葬送を担った聖たち
二、徳川幕府の宗教政策
キリシタン禁止
本末制度について
檀家制度について
三、近世の仏教について
家の宗教として
庶民の仏教信仰
近世における仏教批判
第七章 近・現代の仏教
一、近代の仏教
近代仏教の動向
二つの布告
仏教の近代化
国家神道の下で
二、現代の仏教
戦後の復興の中で
葬式仏教のゆらぎ
岐路に立つ寺院
終 章 これからの仏教
現代人の宗教意識
団塊世代と仏教
仏教を支えるもの
現代人の葬儀と墓
葬式仏教のゆくえ
これからの仏教
引用・参考文献
あとがき